新電力のシェアは伸びている?電力自由化から3年の進捗状況とは。

新電力のシェアは伸びている?電力自由化から3年の進捗状況とは。

目次

  1. 2017年度の電力消費量概要
  2. 新電力のシェアはどれくらい?
    1. 月別で見る新電力の伸び率
  3. 健全な電力自由化となっているのか
  4. 一方で新電力会社側で問題も
    1. 新電力のシェア増にブレーキがかかるのか
  5. まとめ

2019年。今年で電力小売前面自由化が開始されてから3年を迎えます――。新電力として登録した企業の件数は500社を超しました。
最近はテレビではあまり話題には上がらなくなってしまいましたが、日本では電力会社の切り替えはどのくらい進んでいるのでしょうか?
今回は、資源エネルギー庁が発表した2017年度の電力需給状況を参考にして、電力自由化によって新電力のシェアがどの程度進んだのかチェックしてみたいと思います。

2017年度の電力消費量概要

経済産業省 資源エネルギー庁は毎月電力需給速報として電力の発電量と需要量を統計データとして記録しています。(各種統計情報

本データによると平成29年(2017年)4月から平成30年(2018年)3月までの1年間の電力供給量は9,588億kWhとなっています。

一方で、需要の方はというと、9144億kWhとなっています。皆さんは「無駄に発電しすぎだろ!環境破壊だ!」と思われるかもしれないが、需要と供給がマッチすることなんて現在の技術では不可能です。

電力というのは、蓄えておくことができないので、安定的に供給するためには多めに発電する必要があります。

新電力のシェアはどれくらい?

さて、本題の電力自由化がどれくらい進んでいるのかということですが、この需要電力量9144億kWhのうち、新電力会社が販売した電力は、1021億kWhとなっています。これは1年間の全販売量の11.8%となっています。

「なんだ、結構電力自由化進んでるじゃないか!」と思われるかもしれませんが、この数値は、高圧電力と低圧電力の需要量を合算したものです。

高圧電力とは、「高圧電力と低圧電力はどっちがおトク?」でも解説した通り、変電設備を通さない大規模な向上や年がら年中電力を消費する必要がある24時間営業の店などで使用される電力である。

2016年に電力自由化されたのは、高圧電力ではなく低圧電力の話だ。高圧電力の自由化は2000年頃から始まっていたのです。

さて、それを踏まえてデータを見てみると、新電力のシェアはわずか6.9%だ。まだまだ電力自由化は進んでいないと言えるでしょう。

月別で見る新電力の伸び率

しかし月別に新電力会社の電気販売量を見てみると、徐々にではあるが電力自由化が進んでいることが分かる。

以下は資源エネルギー庁の低圧電力(一般家庭・小規模事業者向けの電力)消費量のデータを加工したグラフであるが、2017年の4月に4.66%しかなかった新電力会社のシェアも2018年の3月には8.35%まで伸びている。

新電力会社の地道な営業活動もあってのことだろう。

健全な電力自由化となっているのか

もともと、電力自由化が政府主導で推し進められてきた理由のひとつに、競争激化による電力会社の経営最適化が挙げられます。

一般電気事業者が市場を独占していれば、消費者たる私達は一般電気事業者から電力を買う以外に選択肢がないため、電力会社はふんぞり返って殿様商売を行うだろうということが課題でした。

――で、この殿様商売を防ぐために競争を激化させれば良いということだったのだが、結果としては現時点ではうまく行っていると言えるだろう。

先月末に中部電力が連結決算を発表したが、売上高は前年同比4.4%増加、利益は35.7%増加して280億円の増収増益となったと発表された。

新電力がシェアを伸ばしたことで契約者数は減少したものの、燃料費調整や経営改善がされたということが伺える。

厭味ったらしく言うと、「頑張れば値下げできたのに、これまでしてこなかった」ということではあるが、この調子で新電力会社がシェアを伸ばせば既存の電力会社もさらに経費削減等に取り組むことになるだろう。

一方で新電力会社側で問題も

2018年5月に電力小売り撤退を発表した福島電力が4億の負債をかかえて破産しました。

福島電力は2016年から電力小売り事業者として東北の電力販売に参入したが、約8万の需要家を抱えていた。そんな中で「システム不備による未請求や誤請求が発生してしまった」という理由で撤退を表明しています。
8万の需要家の大半は既に他電力会社に切替を行ったが、一部の切替ができていない需要家の救済措置として、一般電気事業者が電力を供給している状況だそうです。

確かに競争が激化すれば市場原理に基づいて価格は下がり消費者たる私達にメリットが多いかもしれないが、契約している会社が倒産することだって十分に考えられます。

新電力のシェア増にブレーキがかかるのか

この福島電力の破産のニュースは良い意味でも悪い意味でも電力自由化に関心を持つ機会となっただろう。
あるいは、他の新電力会社にとっても好機でありピンチでもあるかもしれません。

というのも、電力会社が倒産してもすぐに停電することはないという事実を知らしめる機会でもあるし、電力会社が倒産するかもしれないというマイナスイメージを付与する機会ともなり得るからです。
依然として、発電所をもつ大手電力会社が優位の市場ではありますが、再生可能エネルギー(太陽光、水力、地熱など)の増加により価格競争はますます激化していくことが予想されるでしょう。

まとめ

  • 電力自由化は徐々に進んでいる
  • 2018年の新電力のシェアは14.1%
  • 電力会社倒産のニュースブレーキとなるか?
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