電力自由化はいつから始まったの?日本の電気市場の歴史

2018年は水道の民営化が話題になりましたが、電力自由化もますます推進しています。

まだ、東京電力や関西電力のような一般電気事業者と契約しているご家庭や事業主も多いでしょう。しかし、飲食店に関しては実に4割が電力会社の乗り換えを行ったことがあると回答しているのです。

今回は、そんな電力自由化はいつから始まったのか?についてご紹介していきます。

電力自由化とは

まずは簡単に電力自由化とは簡単にご説明したいと思います。
電力自由化とは、独占されていた電気事業に市場参入規制を緩和し、これまで電気を使うには地域ごとに決まった電力会社としか契約できなかった個人や企業が自由に電力会社を選べるような制度に改革していくことです。

電力自由化は1995年から始まっていた

実は、電力自由化はアメリカやフランス、ドイツのような先進国ではずっと昔から進められていました。
先進国に続いて、日本でも1995年から政府主導で電力自由化を開始します。

ただ、この1995年時点の電力自由化とは、完全自由化ではなく高圧電力を使用する大規模な工場やオフィスビルなどに向けてのみ自由化されたものでした。
――つまり、私たち消費者や中小規模の事業を営む人間には関係のない話だったわけですね。
当初は、技術的な観点からもスケールメリット的な観点からも新規参入した新電力会社(PPS)にとって圧倒的に不利であったため、上述したような大規模な工場などでも切り替えを行う事業者は非常に少なかったようです。

資源エネルギー庁のデータによれば、2007年4月の時点では新電力会社のシェアは2%程度となっており、新電力会社にとっては苦しい状況であったことが伺えます。

そのような状況が続く中でも徐々に徐々にシェアを伸ばしてきた新電力会社にとって、あるきっかけが訪れます。

――東日本大震災での福島第一原子力発電所の事故です。
これによって、電力会社がダウンしたときに、「どのように生活に必須である電力を供給するのか」ということが議論され、2016年から一般家庭向け、小規模事業者向けにも電力自由化がされることとなりました。

ここからの新電力会社の成長は著しく、2017年の4月に4.66%しかなかった新電力会社のシェアも2018年の3月には8.35%にまで伸ばしています。

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現時点では完全自由化ではない

現時点での電力自由化は、完全に自由化がされているわけではなく、送電を担っているのは全て一般電気事業者です。
電気は発電・送電・小売の3つのセクションに分かれており、このうち需要家である私たちが選べるのは小売のみということになります。

電力小売事業は、Aという発電所から電気を仕入れてその電力を届けるという役割を持っていて、皆さんの身近なものに例えるとスーパーマーケットですね。

例えば、電気をトマトに置き換えると、小売事業者は、トマトを和歌山から仕入れるか、沖縄から仕入れるかということを選びます。
発電事業者はトマトを栽培する農家ということになり、送電事業は農家からスーパーあるいは私たちの家庭に届ける運送業者です。

この送電を行うためには、送電網という設備が必要になります。
――身近な言葉に置き換えると電線です。

この設備投資には莫大な費用がかかるため、現在は発電と送電は分離されており、どこで発電しようが一般電気事業者の送電網を通って電気が運ばれてきます。

この発送電分離は、2020年に実施予定が検討されていますが、先立って発電と送電を分離した各国の事例を見る限りでは、電気料金が値上がりしているため、見送られる可能性も高いです。

なぜ電力を自由化する必要がある?

「今まで通り、東京電力や関西電力から電気買っていればよくない?なんで自由化するの?」と思う読者もいらっしゃるかもしれません。

水道民営化も、郵政民営化も、国鉄民営化も、全て自然に独占あるいは寡占状態とされてきた市場への参入を推進することで、市場競争をさせるという意図を持ったものです。

こういった価格競争を激化させることによって、技術やサービスの最適化されていくことをコンテスタビリティ理論と呼びますが、電力自由化もこの理論に基づいています。

例えば関西電力や東京電力は、今まで営業努力をせずとも、顧客に電力を売ることができたため、もしかすると本来削減できるはずの経費を削減せず、過剰な電気料金を私たちに請求していたかもしれません。

――市場原理が働けば、価格競争に打ち勝つために画期的で低コストでの発電方法が見つかる可能性もあります。
しかし、競争相手がいなければ、その研究にも力を入れようとは思いませんよね?

こういった背景から、民営化することが良いとされてきたのです。

電力自由化の失敗事例も

電力自由化を先立って開始したアメリカ、ドイツ、フランスなどでは失敗事例もあるようです。以下では、各国の電力自由化事例をチェックしてみましょう。

アメリカ – カリフォルニア電力危機

アメリカでは、2000年の夏ごろ、電力会社が需要に対して電気の供給が追いつかなくなり、計画的かつ大規模な停電が実施されるという事態が起きました。

この停電が起きた原因は、電力小売会社がモラルに反した高額な単価での料金を請求したことが発覚しました。急速に経営の状態を傾けてしまったため、発電を行う会社が代金を回収できなくなってしまい、電力を売れなくなったことによるものだといわれています。

また、アメリカでは法律で価格が高騰しないように規制を設けていたこともあだとなりました。――つまり、原価の高騰を消費者に転嫁できず、発電会社の首が回らなくなってしまったわけですね。

ドイツ – 電気料金の高騰

ドイツでは、日本と同じく送電部門は既存の電力会社が担うことになりましたが、法律での規制が緩かったため、送電会社が電力会社に対して託送料として高額な料金を請求する形態となってしまいました。

恐らくですが、発電事業で採算が合わないと判断し、経営を悪化させないために行われたことでしょう。

また、アメリカとは異なり売電価格に対してもドイツ政府は規制を行わずにあくまで需要家に任せる方針を取ったため、電気料金が高騰してしまいました。結果として電力自由化が進んでいなかった日本の電気料金を上回るなど、自由化が裏目に出てしまう事例です。

フランス – 自由化後も続く独占市場

フランスでは日本と同じく長年電力は公益性を持ったものでした。――が、2007年から電力自由化を強行。現在は新電力会社のシェアは20%弱になっています。

20%という数値は、決して高い数値ではなく、依然として一般電気事業者のシェアが高い状態です。要は日本と同じような状態になっています。

特にこれといって目立った失敗事例ではありませんが、もしかすると日本やフランスのような状態が最も消費者にとって利があるのかもしれませんね。

電力自由化は推進するべきなのか?

海外の事例を受けて、一時期電力自由化を推進しようとした韓国では電力会社を政府の管理下に置くことが決定しました。

現現時点で、電力を自由化したことによって電気料金が低減した国家はないといわれており、州によって電力自由化をしていないところもあるアメリカでも、自由化していない州のほうは電気料金が安い傾向にあるようです。

日本でも、自由化前から常に電気料金は低下しており、専門家の中には「自由化する必要はないのではないか?」という声も少なくありません。

確かに国内でも、電力会社の切り替えによって電気料金を抑えることができますが、総合的に見ると「そこまでしてやる必要があったのか?」ということは疑問です。

――とはいえ、自由化してしまったものは仕方ありません。今さら「やっぱりやめた」なんて言えませんからね。

電力会社は切り替えるべき?

現在、日本では、電力会社も多種多様なプランを打ち出しています。
例えば、時間帯によって電気料金が安くなったりするプランもあれば、ポイント付与などの特典がある場合も。
価格的なメリットはそこまで大きくなくても、ポイントの付与などの付加価値という点で見れば、やはり電力会社は乗り換えたほうがお得だと考えられます。

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