海外の電力自由化事例から学ぶ反省点とメリット

日本では1995年から開始し、2016年に全面自由化した電力市場は、諸外国、特に欧米の先進国では先立って開始されています。

例えばアメリカでは、1990年台から一般家庭向けに電力自由化が開始していました。

資源エネルギー庁の発表によると、2017年3月時点で新電力会社のシェアは8%余り。まだまだ日本では自由化が進んでいない電力ですが、改めて本当に乗り換えても大丈夫?と不安に感じておられている方もいらっしゃるかと思います。

――今回は、電力自由化に本当にデメリットはないのかということについて、先立って自由化が実施された諸外国の事例を参考にして解説していきたいと思います。

そもそも電力自由化とは

電力自由化とは、3種類の自由化があります。

ひとつは、「発電の自由化」です。誰もが発電事業に参入できるようになりました。日本でも新電力会社(PPS)が数多くでてきており、火力発電によって低コストで発電を進める会社、再エネのみを利用して、100%地球に優しいエネルギーを発電する会社など様々な電力会社があります。

ふたつめは、「小売の自由化」です。電力小売事業とは、私達需要家に対して発電会社がつくった電力を売電する役割をもったセクションです。
この小売が自由化されたことによって、その小売事業者が「どんな料金体系なのか」「どこの発電会社から電力を仕入れているのか」「どんなサービスを付加しているのか」などを考慮して、一人ひとりにあったプランを選べるようになりました。例えば、再エネしか使いたくないという殊勝な志をお持ちな方は、そういった発電会社と取引をしている電力会社から電気を仕入れることができるわけですね。

3つめは、日本ではまだ実装されていない「送電の自由化」です。
電力はストックすることができないものですから、食品のように発電したものを陳列して売るわけにはいきません。

この送電を行うためには、電線を全国に配備したり、変電施設を用意したりする必要があるため、大規模な設備投資が必要になります。
そのため、現在は関西電力や東京電力などの一般電気事業者が持つ送電設備を各社が利用しているような状況です。

日本ではこの送電のみが自由化されておらず、2020年に送電も自由化される予定ではありますが、各国の状況を見ると自由化されない可能性も考えられます。

諸外国の電力自由化の事例

さて、電力自由化についてはなんとなくご理解いただけましたでしょうか?
以下では本題の海外の電力自由化事例をいくつかご紹介していきたいと思います。

アメリカの場合

自由の国アメリカでは電気料金が安くなることで、事業者が他のところに設備投資しやすくなり、活性化するとの考えのもと、1996年から電力自由化が開始されました。

州ごとに自由化するしないの判断は委ねられることになりましたが、ほとんどの州では電力自由化が実施されているような状況です。

ただし、アメリカにおける電力自由化は必ずしも成功だとは言えない結果となりました。失敗だと言われている一つの原因は、2000年の夏から2001年に起きた「カリフォルニアの電力危機」です。

これは、電力自由化によって様々な悪い要因が重なったことで、発電会社の首が回らなくなり、電力の供給が需要に追いつかなくなったことによって、計画的な大規模停電が実施された事態のことを指します。

主な原因としては、電力小売事業者の品性を欠いた商売の方法や、法規制によって、原価が高騰しても電力会社が電気料金を値上げできなかったことによるものだと言われています。

――わかりやすく言えば、以下の通り。

発電会社「原価が高騰してヤバイ。倒産します….」
政府「経営努力でなんとかしろ!消費者に責任転嫁するな!」

発電会社「そんなん言ったって、この値段で電気作っても赤字になるんですって…電力会社さんなんとかなりませんか?」
電力会社「あ~あかんなぁ!もっと料金下げてもらわな売れませんわ。」

消費者「う~ん、電気代高いなぁ….」
電力会社「今は原価高騰してるからこれくらい電気料金払ってくれないと回らないんですわ。」

電力会社「発電会社から安く仕入れて消費者に高く売れて儲かるわ~ウヘヘ」
政府「警察だっ!」
消費者「やっぱりぼったくりやんけ!どないシてくれんねん!」

電力会社「評判悪くなって倒産や…あっ、発電会社さんうちに請求してもお金ないで。破綻やわ。ほな、あとよろしく。」
発電会社「えっいやそれは…。」

発電会社「このままじゃうちも倒産するから、安くつくれる電気だけ卸すことにします。皆節電してね。」
地球「今年は猛暑でいくで!!」
消費者「クーラーガンガンつけたろ!!」
発電会社「もう無理。停電します。」

――これ以降、アメリカでは電力自由化の普及は鈍化しています。

そして、なんと電力自由化を実施していない州のほうが電気料金が安くなっているという話もあります。

ドイツの場合

EU加盟国であるドイツは、1987年に欧州委員会がが提唱したエネルギー市場構想に基づき、2003年までに市場の1/3を自由化することが求められたため、「やむ無し」ということで自由化を行った。

――が、この自由化の方法が適当すぎた。政府は、消費者が正しい知識を身につけて勝手に市場はよくなっていくであろうと見て、料金に規制を設けなかったため自由化によって電気料金が高騰しはじめた。

これは大手の電力会社8社が高額な送電網利用料を新規参入してきた電力会社に求めたためだ――。

これによって、利益が出ないとわかった新電力会社は次々に電力市場から撤退、あるいは合併・吸収が相次ぎもともと8社あった電力会社が半分の4大電力会社が寡占状態に移行しただけとなった。

自由化のつもりが逆にさらに選択肢が狭くなってしまい、真逆の方向に進んでしまったのです。某風刺アニメでは日本と共に世界一ユーモアがない国にノミネートされたドイツですが、これにはヨーロッパ諸国もニンマリ。

フランスの場合

フランスは、そもそも電力自由化に対して前向きに取り組まなかった。ドイツと同じくフランスもEU加盟国であるが、ドイツ以上にこれに自由化に対して抗った。

あまりにもEUが口うるさく「自由化しろ!」というものなので、仕方なくEUが定めた期限の1年遅れで形だけの電力自由化を行った。

国としても、自由化が進まないように法律で規制をかけながら電力自由化を運用しているが、現在の日本のように電力は独占市場のままだ。

――ただ、皮肉にも、電力自由化で失敗していない国というのは、積極的に取り組んでこなかったフランスぐらいだろう。

日本ではどうなることが予想される?

――ここまで呼んでいただいた読者の皆様は、「なんだ!電力自由化なんて必要ないじゃないか!」と思われるかもしれない。

エネインフォ編集部としても、「そこまで張り切って進めるものではないでしょ。」というのが本音だ。

事実、日本では電力自由化などしなくても長年電気料金は低下傾向にあったのです。――そこにわざわざテコ入れを行う必要はなかったのではないだろうかと思わざるを得ないです。

こういったこともあり、電力自由化はゆっくりと普及していくと考えられる。それだけ日本には慎重な方が多いですからね――。

また、日本政府も法規制をキッチリ行いながら自由化を進めていることから、フランスと同じような状態が続くのではないかと考えられます。

結局、電力会社は乗り換えないほうが良い?

マクロ的に見れば、電気料金が高騰してしまっているかもしれないが、逆に利用できるものは利用したほうが良いです。

現時点では、毎月の電気代が1万円を越えるような場合、一般電気事業者から電気を仕入れるよりも新電力会社に乗り換えるほうがおトクなケースは多いです。

また、新電力会社には価格意外のメリットも存在します。再エネを利用できたり、ポイントが付与されたりするメリットですね。

現時点では、乗り換えを行った方々の口コミを見ても目立ったデメリットはありませんし、私達消費者は政府のようにマクロ視点で市場を見渡す必要はありません。「ミクロ視点なら…OKです!」なのである。

事業者様必見!
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小西 智一

株式会社Bliss Ariseの電力事業の営業担当です。多くの事業主様により安心しておトクに電気を使って頂くため、日々奮闘しています。

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